HELIX

繰り返した日々から褪せていった色で、
満ちていたあの朝を探した。

くすんだ思い出も、小説の項の中。
形而上的な距離を、あの夏へと繋げる。

プルーストが運ぶ波音。
泡のように空へ、消えてなくなった。

壊れたカセット、五月の東雲、
湖畔に浮かんだ、さざめきの声。

大人になること、記憶の揺らめき、
あなたの声から、伝わる体温。

プルーストが運ぶ波音。

壁際並ぶ背表紙の中で、いまさらあなたを思い出した。

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